―side?―

「ねえ、涼。あの子、手ぬいてるよね。」

「……あぁ。」

……手をぬく生徒はめずらしい。

3年間に1人いるかいないかなのに。

やる気がないか、それとも……

「――本気が相当ヤバいか。」

俺の言葉を聞いて、秋がニヤリと笑う。

「どっちに賭ける?」

……こういう時は素の表情だな。

「……後者で。」

チャレンジャーだね~、と秋がつぶやている。

「双子はどっち?」

後ろでグラウンドをみていた海と空に、秋が問う。

「前者。」

「本気がヤバい人なんてめったにいないでしょ。」

……われたな。

「じゃ、僕は後者で。これで2対2だね。」

そう言った秋を見て、俺はわずかに口角をあげ、つぶやく。






「――今年のターゲットは星河 椿だ。」