「ねえ、きみ。」


うっ、こ、この声は……

「……Bright」

こいつらに、顔を覚えられたら、終わり。


――逃げよう。


声の主がいる方向には振り向かず、柵へのぼる。

「!?、っえ!べつに戦うわけではないんだけれどっていうか、死んじゃうよ!!」

何か言ってるけれど、無視して屋上から飛び降りる。

トンッ

着地すると、ダッシュで寮へ向かう。

あーもうっ、なんで気付かなかったんだろう!

あっちの姿だったら絶対気付いたのに!




「あ、もしもし?秋だけど、例の子、当たりだよ。……しかも、相当動けるし。」

屋上で、彼は電話をしていた。幼児が、玩具をみつけたような顔をして。

このことを、私は知らない。