「『大迫様 お世話になります。フリーフォトグラファーの清水と申します……』って、硬いかな」
でも13年近く会っていないどころか連絡のひとつもとっていない相手に、くだけた文章を送るのもどうかと思う。
それに仕事だしね。うん、そう、これは仕事。
そう自分に言い聞かせて、私はひとつ呼吸をおいてから送信ボタンをクリックした。
それから数分と経たずに、スマートフォンがピリリと鳴った。
それは仕事用のスマートフォンのほうで、画面を見ると知らない番号からの着信だ。
誰だろ……。
「はい、清水ですけど」
『お前、堅苦し過ぎ』
不思議に思いながら電話にでると、電話越しに聞こえる低い声ひとつで、一気にあの頃へ戻った気がした。
この声……大迫、だ。
変わらない愛想のない言い方も彼らしい。
「……どちら様でしょうか」
『とぼけんな。日比谷中央高校出身、元3年A組の大迫耀だ。わかってんだろ』
試すように言う私に、無愛想な口調で答える。その声が懐かしくて、思わずつい笑ってしまった。
「わかってるよ。久しぶり、大迫」
『あぁ。本当、高校卒業して以来だな』
メールに載せていた番号を見てすぐかけてきてくれたのだろう。仕事のため、とわかっていても嬉しく思ってしまう。
『写真見たよ。お前いい腕してるのな』
「本当?よかった、ありがと」
『せっかくだし、会って話しないか?里見のところのホームページの雰囲気とかも相談したいし』
「……うん、わかった」
私と大迫は、互いに都合のいい明日の午後、約束を取り付けた。
断る理由もないし、というのは建前で、本当は会いたいから。
大迫……どんなふうになってるのかな。大人っぽくなってるかな。
はっ、私こそどんな服を着よう、メイクはどんなふうにしよう。
老けたとか思われたくないし……。
緊張するような、浮かれてしまいそうな、そんな不思議な気分で、私はクローゼットを開けた



