愛がなくても、生きていける




翌朝。

出社した私は、ひとりぐったりと自分のデスクに伏せていた。



「あ~……気持ち悪い」



昨夜は妃那と話をするうちに終電近くまで飲んでいた。

妃那と語りながら飲んでると、ついつい飲みすぎちゃうんだよね……。妃那はお酒に強いからそのペースに流されてしまうのもある。



ふらふらな足で帰宅して、そのままメイクも落とさずリビングの床で倒れるように寝てしまった。



朝起きたら、乾いたマスカラでまつ毛は張り付いているし、スーツはシワシワだし、全身は痛い二日酔いで気持ち悪いし……。

おまけに寝坊までしてしまったものだから、大慌てで支度をして家を飛び出してきたのだった。



メイクのノリも悪いし顔もむくんでるし。

今日は午後から辰巳と取引先に行くっていうのに、最悪なコンディションだ。

せめてもの抵抗として顔を手でマッサージしていると、背後から頭をガシッと掴まれる。



「こーら、この二日酔い女」



その声から辰巳だと察するけれど、今はその大きな手にときめく余裕もない。



「誰が二日酔い女よ……」

「誰がどう見てもお前だろうが。今日は午後から取引先だっていうのに、パンパンに浮腫んだ顔しやがって!」



辰巳はそう言いながら私の頭を掴んだままグラグラと揺らす。



「あー!やめて!気持ち悪い!吐くー!」

「次の日のこと考えずに飲みまくった自分が悪い!」



声をあげる私に、辰巳は頭から手を離す。そして呆れたように溜息をつき手元の袋からなにかを取り出した。

コン、と私のデスクに置かれたのは、カップに入ったインスタントのお味噌汁だ。