愛がなくても、生きていける




それから私は大迫と連絡をとることをやめた。

電話もメッセージも拒否をして、連絡をとれないようにした。

メッセージひとつにすら、この心が揺れてしまうのは目に見えていたから。



……このまま、また思い出に変えよう。

そしていつか、あんなこともあったなって思えるようになるはず。

だから大丈夫。

何度も何度も自分に言い聞かせる。

その『いつか』がくるまで、この先も何度でも。





それから一ヶ月が経った頃。

外へ出ると季節は一気に夏らしさを増し、半袖からのぞく腕を太陽が強く照らしていた。



今日は久しぶりにあやめとランチに行く約束をした。

めずらしくあやめから連絡がきたかと思えば、『たまにはふたりでランチしない?』との誘いで、私も気晴らしをしたかったし、とふたつ返事で了承したのだ。



ここしばらく、大迫のことで気持ちもしずみっぱなしだったし……たまにはいいかも。

けど大迫とのこと、あやめには言うべきかな。いや、あやめも聞かされても困るかな。



そんなことを考えながら歩くうちに、南青山にあるあやめの店に着いていた。

この近くのお店でおすすめの場所があるそうで、それならと私があやめのお店まで迎えに行くことにしたのだ。



相変わらずマリーゴールドが綺麗に並ぶ店頭から、ガラス窓越しに店内を見る。

平日午後一番の時間ということもあり、お客さんもあやめの姿もない。



あやめ、奥にいるのかな。

自分でアレンジメントやブリザードフラワーを作ったりするとも言ってたし……ちょうど作業中なのかも。

そんなことを思いながら、私はあえて声をかけずに店頭のオーニングテントの下にある花を見つめた。



足元にある銀色のバケツには、先日花乃ちゃんがくれたピンク色の小さな花が並ぶ。

そういえばこれ、なんて花なんだろ……。

ふと疑問に思い、なにげなくスマートフォンで検索をした。



花の名前と写真が載っているサイトから、色や特徴で検索をかけて……検索をすると、いくつかの候補の中からその花を見つけた。