愛がなくても、生きていける




ビルの外へ出て、ふたりで近くにある駐車場へ向かい歩いていく。



「悪かったな、清水。うちの秘書があれこれうるさくて」

「ううん。秘書さん、しっかりしてる人なんだね」

「しっかりしてる……といえばそうなんだけどな」



それでも私生活のことまであれこれ言われるのは嫌なのだろう。その顔は少し不満げだ。



「会社が少しずつでかくなってきて、今度雑誌やテレビに出ることも決まって……そのせいかやけに俺の身の回りのことにも敏感になってるんだよ」

「えっ、テレビ!?すごいじゃん!」

「ニュースの短い時間の特集とか、そんな大したものではないけどな。まぁそれがまた会社の宣伝にもなるし」



大したものじゃないって……テレビに出ることだけでもすごいのに。

でもそっか、それなら小野寺さんもあそこまで心配にもなるしうるさくも言ってしまうだろう。

私を見る彼女の目が私と大迫を不釣り合いと言っているような気がして、思い出すと胸が痛んだ。






それから私と大迫は、車でふたり1時間ほどかけて埼玉県にある大きな遊園地へとやってきた。



園内全体のイルミネーションに加え、アトラクションのライトアップもあり、どこを歩いてもきらびやかで幻想的だ。

事前にアポをとっていたこともあり、園内の関係者の人からふたり分のフリーパスをもらった。

『撮影中や合間にアトラクションも好きに乗っていただいて構いませんので』と、寛大な気遣いまでいただいてしまった。



私は大迫に荷物を任せ、夜の遊園地内でカメラを構える。

人の顔はあまり入ってしまわないように、乗り物にピントを合わせ、ライトの輝きが強く出るように光を調節して……。

カシャ、カシャ、とシャッターを切り続ける。



そして最後にこの遊園地の名物である巨大メリーゴーランドを撮り終え、私は「ふぅ」とカメラを下ろした。