その日から私と大迫は、なにかと連絡を取り合い、時間を見つけて食事に出かけた。
食事をして話をして、家に帰るだけの健全な関係。
だけど時折その手が肌に触れたり、微笑んで見せたり。それだけで胸はときめいて、私の中で彼の存在がグラグラと揺れ始めていた。
そんな関係をはじめて、一ヶ月ほどが経とうとしていた頃。
「清水。次の飯いつにする?」
いつも通り食事を終え、タクシーを待つ間に次に会う日を決めるのがここ数回のあいだ私たちの流れとなっていた。
「次……大迫はいつだと都合いい?」
「俺は水曜とかだと空いてる」
「来週の水曜……」
話しながら私もスマートフォンのスケジュール管理アプリで予定を確認する。
けれどそこには『夜撮影』の文字が入ってしまっている。
「あ、ごめん。その日の夜仕事だ」
「へぇ、夜に仕事って珍しいな」
「うん。前の職場のときのツテでもらった仕事なんだけど、観光雑誌の『夜の遊園地』って特集で撮ることになってて」
その日は埼玉の遊園地で、夜景を撮影する予定だ。
そこ以外にもいくつかの遊園地をまわる予定だけれど、どこもすでにアポを取っているためスケジュールなずらせない。
「ならその日、俺も一緒に行ってやろうか」
突然の大迫からの提案に、思わず「え?」と声が出た。
「俺はカメラのことは分からないけど、荷物持ちくらいならできるし。車も出せるから、電車の時間も気にしなくていいだろ」
いいのかな、と思う反面、大迫とふたりで夜の遊園地……まるでデートみたいだと心が躍ってしまう自分もいる。
「うん……じゃあ、お願い」
小さく頷いた私に、大迫も頷いた。



