翌朝。
「おう、清水おは……ブッ!」
目を覚ましてリビングへと向かうと、そこにいた大迫は挨拶もそこそこに勢いよく吹き出した。
「……いきなりなによ、朝から失礼な」
「お前……化粧崩れてるし顔むくんでるし、すごい顔してるぞ」
「え!!」
笑いを堪えながら言われたことに、私は慌てて奥にある洗面所へと駆け込んだ。
洗面所にある汚れひとつない鏡には、ドロドロに崩れたメイクとむくんだ顔の、本当にひどい顔をした自分が映る。
は、恥ずかしい……!
両手で顔を隠す私に、あとからやってきた大迫はまだおかしそうに顔をにやにやと緩ませる。
「最悪……ひどい顔!忘れて!」
「無理でーす忘れられませーん」
からかうように言ってくる大迫に、私は恥ずかしいやら悔しいやらでいじけるように顔を背けた。
そんな私を見て、大迫はまた「ははっ」といっそうおかしそうに笑う。
「悪い。かわいくてからかった」
「……かわいくてじゃなくて、面白くての間違いでしょ」
「かわいくて、だって。拗ねるなよ」
まるで子供をなだめるように、大迫は私の頭を撫でた。
……こういうところは、なんだか昔と違う。大人の余裕というものだろうか。
異性慣れしているように感じられて、なんだか胸が少し痛んだ。
すると大迫は、もう片方の手に持っていたらしい白いバスタオルを手渡す。
「その顔じゃ帰るに帰れないだろうし、シャワー浴びていけよ。俺も今日は午後からの仕事だから時間あるし」
「……うん」
女性の扱いに慣れている、そう感じるとまた切なくなる。
お互い、あの頃から今までに誰かと出会ったり、恋愛をしてきたのは普通のことなのに。
だけどそれでも、居心地の良さに甘えてしまいたくなる。



