「2人は?」
「これ、買う」
そう言って如月が見せてきたのは、真っ黒い鈴。うわ、イメージまんま。
「俺はこれ」
佐倉くんは、赤いお守り。ザ、お守り。
「それじゃ、次行く?」
「うん」
渡辺さんの一言により、次に行く事になった。
「京、楽しい?」
「…うん、楽しい」
間があったのは、悩んだからではない。修学旅行が、想像していたより楽しいと思えること、自分がよく話すことに少し驚いたから。
「神谷、俺たち、先帰る?まだ時間はあるけど」
「うん。みんなより、10分くらい早く帰った方がいいかも」
そして、如月とよく話すことに気づいて、驚く。
「えー、京、先帰るの?」
「如月くん、帰っちゃうの…?」
2人の残念そうな顔に、少し時間が名残惜しくなるが、委員の仕事なんだからしょうがない。
「でも、もう少ししたらね」
「じゃ、今のうちになるべく多くの場所行こう」
香耶は張り切っている。
