1>修学旅行は待ってくれない


「次ー、行き場所について確認する」


教室に担任の声が響く。私、神谷京子。何となく、学年一位取っちゃってる。何となく、学級委員やっちゃってる。きっと、こんな本音を言ったらクラスからブーイングを受けるにきまってる。いや、寧ろ、尊敬されるかも。きっと笑って聞いてくれるのは、二年の先輩、浅倉遥香と浅江麗華くらいだろう。彼女らも、こんな感じだ。
「じゃ、残りの進行神谷と如月、頼んだ」


あっという間に先生の説明は終わり、私たちに回ってきた。


「はい、では班決めから行きます」


私は、やる気のなさを表に出さないように、良く通る声を出す。高めで、すっと抜けるような声。演説では、これが一番。


「じゃ、適当に固まってみてください。できれば、クラスで8班作りたいです」


如月…如月悠斗、私と同じ学級委員が話を進める。交互に話すのは、私たちの定番だ。もし、連続して話したい内容があれば、事前に打ち合わせ。だからお互い最低限の会話しかしない。