☆☆☆

そして休憩時間。


先生が教室から出ていくと夢が近付いてきた。


その表情はどこかイラついているように見えて、あたしは机の上を片付ける手を止めた。


「どうしたの夢。怖い顔して」


「美紀への恐怖はまだなの?」


あたしの質問にかぶせるようにして夢は言う。


あたしは軽く息を吐きだした。


「きっともうすぐだよ」


「朝からずっと待ってるんだけど」


夢はまだかまだかと待ち続けて、そのせいでイラ立っているみたいだ。


「大丈夫だよ。アプリの効果は今まで見てきたでしょう?」


「そうだけど……」


今回のターゲットが美紀だからだろうか。


夢はやけに結果を急いでいるように感じられた。


アプリに時間指定までできればいいけれど、あいにくそんな機能はついていない。


だからせめて『学校内で』という言葉を使っているのだ。