恐怖ダウンロード

体をあちこちにぶつけているが、決して止まろうとはしない。


クラスメートたちは靖から逃れるために教室から逃げていってしまった。


「いるんだよ。今は見えないけど、でもいる。俺には見えたんだ。ここには女の霊がいる」


午後からの授業が開始されても、靖は1人でぶつぶつと呟いていた。


その目はうつろで、なにも見えていない。


「口田くん、教科書とノートを出しなさない」


国語の先生にそう言われても靖の耳には届いていなかった。


額には脂汗が浮かび、周りを気にして顔をせわしなく動かすばかりだ。


「口田くん!」


更に先生に声をかけられた瞬間、靖は弾かれたように立ち上がっていた。


目はなにもない空間を見つめている。


「あ……あ……出た!」


叫び声を上げ、空間を見つめながら後退する。


机にぶつかってこけそうになりながらも窓辺まで移動した。


「口田くん? あなた一体どうしたの?」


先生が眉を寄せて聞く。


ただごとじゃないと感づいたのだろう。


靖は「いる、いる!」と繰り返してなにもない空間におびえ続けている。


「靖、お前いい加減に……」


陸が立ちあがりそう言った瞬間だった。


靖は自ら窓を開けて、窓枠に足をかけたのだ。