無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


私がそう言うと、善は目をつぶったまま「凛李なら後ろ姿でもわかる」と小さく答えた。

そんなに私のことを見てくれているってこと……?

……だなんて、自分にとって都合のいい考え方。



「心配してくれてありがとう」

「……ん」

「こんなこと今までなかったから、私もどうしたらいいかわからなくて……。善が男の人の力が強いんだってこと教えてくれたからこれからは気をつけようと思う」

「……教えただけじゃないけど」

「……え?」



私が聞き返すと、善は「なんでもない」とつぶやいた。



「あー……なんか、久々に走ったから疲れた」



めんどくさがりな善が言いそうな言葉。

それなのに、走ってまで私のことを探してくれたんだと思うとーー純粋にうれしくなる。

私、今どうしようもなく……善を抱きしめたい。


そう思う私に、「がんばったからご褒美ちょうだい」と上目使いでおねだりをしてくる善。

そんな顔で言われて断れるはずがない……。