無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


「善……っ」



偽物の牙が私の肌に当たり少しチクッとし、思わず声が出てしまう。
その声で善は動きを止めた。
つかんでいた両手首を解放され……善は私を見下ろす。

逃げようと思えば逃げられるけどその場から動けないのは……善がこれ以上私が嫌がることをしないとわかってるからかもしれない。



「……とりあえず着替えて」



善は近くに置いてあったジャージのズボンを私に渡してきた。



「え……?これ……」

「俺のやつ。お化け屋敷で教室に荷物置けないからD組の荷物はここに置いてんの」

「そういうこと……」

「とりあえずその格好でもう歩かせられないから、それ着て」

「……わかった」



私はカーテンに隠れて、上はそのままで下だけジャージのズボンを履いた。
善のジャージはかなりぶかぶかで、下のズボンは警察官のコスプレのベルトで締めたらなんとかなった。