無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


そんなときにちょうど、瑠月の部屋の扉が開く音がした。
そして、扉越しに「凛李ー、私たちちょっと出かけてくるねー!」と瑠月の声が聞こえた。

「わかったー」と答えると、瑠月と刀夜くんの足音だろうか、階段を降りる音もした。



「……帰ったね」

「凛李がしたいこと言ってよ。俺だけが舞い上がってても意味ないし」

「……そんなことない」

「……」

「私も善とキスしたかった。いっしょにいたかった。だから、さっきはすごくうれしかったの」



たぶん顔も耳もぜんぶ真っ赤だろう。
できれば見てほしくない。

……だけど、私の隠していた気持ちだから、ちゃんと聞いていてほしい。



「続き、する……?」



どうして自分の口からそんな言葉が出たのかなんてわからない。
私の中の善に対する気持ちが口からも溢れ出てしまったんだと思うしかない。

それからはすべてがスローモーションのように見えて、私が私じゃないようだった。