ーーそろそろみんなが帰ってきそう、バレたら大変。
私は、彼の体を少し揺らして起こそうとする。
「んー……」と寝ぼけた声を出し、私の腰に腕を回したかと思ったら……そのままお尻を鷲づかみされた。
「ひゃっ……!」
「んん……」
「柊木くん!起きて!」
お尻に触れる柊木善の手をなんとか引きはがし、私のその声でようやく起きてくれた。
「結構寝ちゃったな」
片目を手でこする柊木善。
私のお尻を触ったことなんて覚えてないだろう。
グーッと両腕を頭上へ伸ばしたあと、柊木くんは起き上がる。
「凛李のおかげでスッキリした。ありがと」
「……なら、よかった。それよりさ……」
「ん?」
「……なんで、突然下の名前で呼ぶのかなぁと思って……」
「あぁ、呼び方?"わかな"より"りり"のほうが短いし呼びやすいから」
「あ、そういうことね……」
柊木善らしい理由に納得っちゃ納得。
……呼び捨てにされてドキッとしたのが恥ずかしい。