私がうなずくと、善は「保健室に戻ろ」と言って私の手を握った。
……そこで、善が片手になにかを持っていることに気づいた。
「なにを持ってきたの?」
「凛李の制服」
「あぁ、ありがとう。でも、どこにあるかよくわかったね?」
「教室にいる人に聞いた」
「そうだったの? 善が他人と話すときがくるなんて……成長を感じて切なくもなってくるね」
「誰目線なんだよ」
善のおかげなのか、すっかり不安な気持ちがなくなり善と心から笑って楽しめている。
「それにしても、私と善が付き合ってることに不満を持つ人が想像以上に多くてびっくり」
「なんで他人に不満に思われなきゃいけないんだよ」
「それは、私が地味でなんの取り柄もないからだよ」
「なんで」