無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


「柊木くんと付き合ってるの?」

「……」

「あ、誤解しないでね。私、先月に結婚したばかりで大好きな旦那がいるから、いくらかっこよくても生徒なんて眼中にないの。ただ、あんな誰にも興味がなさそうな柊木くんに彼女ができたっていう事実が信じられなくて……」

「……付き合ってます」

「そうなのね? まず女の子と入ってきたことにおどろいたのよ。あの柊木くんがわざわざ自分の体操服を差し出すほど心配になるくらいなんだから、よっぽどあなたのことが好きなのね」



さっきあんなに善のことをジッと見ていた理由はこれだったのか。
あの善に彼女がいるということにおどろきを隠せなかったんだ……。



「善はよく保健室に来るんですか?」

「たまーによ。バイトもたくさんしてるみたいだし、疲れてる日はサボりにくる感じ。でも、2年生になってからほとんどなくなったかなぁ」

「……そうなんですか?」

「……あら、あなたが理由なんじゃない?」

「え? どうして私が……」

「柊木くんの心の拠り所になってるんじゃないかしら」