無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


私のとなりを歩く善が上半身裸ということで、すれちがう女の子たちがみんな黄色い声を出す。
そして、ちらほらと「なんであんなに血だらけなの……?」という声も聞こえてきた。

そりゃあこんなに体操服が血だらけだったら不思議に思う。
……できれば見てほしくない、隠したいーー。

そう思った私の意を悟ったのか、なにも言ってないのに善が私の肩に腕を回して、私を隠すようにして歩き始めた。
善が素肌のまま密着してきたことにより、私の体温は急上昇。
そして、周りの女の子たちからは悲鳴が聞こえた。

善はそれに一切反応せず私をチラチラと心配そうに見ながら足を進める。

善の興味がないことに無関心でいられる精神力を本当に見習いたい。
私にもそれくらいの度胸があったらいいのにな……。


保健室に着き、善が扉を開けてくれた。
真正面には保健室の先生が座って机で仕事をしている。