無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


「体操服こんなことになっちゃってごめんね……」

「そんなのいい。それより鼻どう?」

「もう血も止まったし大丈夫だよ」



大丈夫だって言ってるのに、善は心配そうに私の鼻をそっと触って確認したあと、手を濡らして私の顔についているであろう血を拭いてくれた。



「ありがとう。もうほんとにだ……」

「保健室行こ」

「ここで少し座ってれば大丈夫だよ」

「だめ。保健室」



善が上半身裸なため、話すのにも直視できなくて困る。
これ以上ここで言い合いしてもしょうがないので、私は大人しく保健室へ行くことにした。



「紀衣ちゃん、私保健室に行ってくるから先生に伝えておいてくれる……?」

「もちろんっ。ゆっくり休んでね」

「ありがとう……落ちついたら参加するね」



紀衣ちゃんは善に軽く頭を下げたあと、先生に伝えに行ってくれた。