「えっ⁉︎」と紀衣ちゃんのおどろく声が聞こえた。
そのあとすぐに、誰かが白い布で私の鼻を押さえた。
私は横目でその人に視線を移すと……そこには上半身裸の善が。
そこで気づく。
鼻を押さえてくれているこの布は善が着ていた体操服だということに。
「これ……っ」
とっさに体が動いて体操服を返そうとすると、「動くな」と、再び鼻に体操服を当てられた。
善はいやな顔ひとつせず、反対の手で鼻の付け根まで押さえてくれる。
少し離れたところからは「キャー!」という悲鳴があちこちから聞こえる。
善が上半身裸になったからだろう。
……私が鼻血を出してしまったばかりに、善の裸を見せてしまうなんてーー完全にしくじりだ。
そんなこんなでようやく鼻血も止まり、なんとか落ちついた。
しかし、私が着ている体操服も善の体操服も血だらけ。



