その女の子はそれ以上なにも言わず、照れながら自分の席へと戻っていった……。
「これで一気に広まりそうだね」
「不安?」
「……じゃないって言ったらウソになるけど、でも大丈夫」
話しているだけなのに、教室にいる生徒と廊下にいる生徒みんなが私たちに注目している。
こんなに人から見られたことがないから、冷や汗をかき始めてる……。
善の彼女として生きていくならこういう状況にも多少は慣れないと……。
なんて思っていると、朝のホームルームが始まるチャイムが鳴った。
善は私の頭を2回ポンポンと触れ、自分の教室へと戻っていった。
ーー結局、最初に聞いてきた女の子のおかげなのかよくわからないけど、私と善が付き合っているといううわさは一気に学校内に広まった。
授業中、授業の休憩時間、昼休み、とりあえず常に周りから視線を感じてこの日を過ごした。
あまりにも鋭い視線で、このまま体のどこかに穴が開いてしまうのではないかと心配になったほど。



