無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


ある意味これは能力かもしれない。
この人に”怒り”という感情はないの……?
秦くんの声を本当に耳に入れずに拒否しているとしか思えない。

最寄り駅に着き、再び私たちは3人並んで歩きはじめた。



「否定しないってことは合ってるってことでいいんだよな?」



鼻で笑い、完全に善をバカにしたような言い方をする秦くん。
そろそろ私のほうが黙ってるのが難しくなってきたんですけど……?



「付き合うとかめんどうだから彼女はいたことない。そもそも、他人に興味ないから」

「え⁉ 彼女いたことないの? こんなにかっこいいのにもったいない……。俺がこの顔だったらとっかえひっかえするだろうなぁ」



私にとっても衝撃な事実。
善も今まで付き合ったことないの……?
それなのにどうしてこんなにあざといテクニックを持っているのか謎でしかない。

付き合っていなくても、キスだとかそういうことができるのは知っている。
こんなにモテるんだから、そういう経験は豊富だろう。
想像はしたくないけど。

……でも、恋愛経験でいえば私と同じ初心者だったなんて。

ここでおどろいたら秦くんに怪しまれるのがわかっているため、私は必死に反応しないようにがんばった。