これ以上このボタンたちを外してしまえば、なにが現れるのかはわかっている。
善の上半身がどうなってしまうのか……わかってしまった。
やっと理解した。
裸……ですよね。
そりゃそうですよね、お風呂に入るんですもんね。
服を着たまま入らないから、私に脱がしてほしいと頼んだんですものね。
「ボタンの外し方も忘れた?」
次のボタンの前で両手を停止させる私に、善の声が降ってくる。
「……私、できない」
「え? なんで?」
善はとぼけたふりをしてそう言うけど、内心ニヤニヤしているのはわかっている。
私が恥ずかしがるのをわかっててこんな頼みごとをしたにちがいない……。
だって、がんばればネクタイもボタンも1人で外せた気がする。
「……なんでできないか、わかってるでしょ」
「んー、どうだろうね」
口角を上げる善を見て、確信犯だとわかった。
私はまんまと善の罠にはめられたというわけだ……。



