「ありがとう。じゃあ、次Yシャツお願い」
「うん、任せて」
ネクタイとは違って次はただのボタン。
なんの問題もない。
1つずつ外していくだけ……の、は、ず、が。
ーーこの頼みごとを引き受けた数分前に今すぐに戻りたくなった。
そのときの私にタイムスリップして警告してあげたい。
そして今、なぜ引き受けてしまったんだと過去最大級の後悔の波が私に押し寄せている。
上から3つ目のボタンを外したところで現れたのは……善の胸筋。
ちょうど私の目線の高さ。
目の前にドーンと現れた程よくある胸筋。
もちろんYシャツの下にはなにも着ていない。
……なぜ、このことを私は忘れていたのだろうか。



