「お風呂入るのに試しにやってみたんだけど、やっぱり左手が痛くてうまくボタンが外せなくて……」



あぁ、なんだ、そういうことね。
"服を脱がしてほしい"という言葉でびっくりしてしまったけど、理由を聞いたら納得できた。



「わかった、じゃあ、とりあえずバラバラで脱衣所に行こう」

「いいの?」

「なにが?」

「いや、あっさりOKしてくれたから……」

「緊急事態なんだからしょうがないでしょ。私が脱がしてあげなきゃお風呂に入れないわけだし」



淡々と答える私の顔を目を丸くして見てくる善。
どうしてそんな信じられないような顔で見てくるんだろう。
頼んできたのはそっちじゃない。
私は彼女として、その頼みごとを引き受けただけなのに……。

善の反応を理解できないまま、とりあえず善が先に脱衣所へ行き、他の人に見られていないことを確認してから私も脱衣所へと入った。