善と歩くこの時間……終わってほしくない。
そんなことを思いながら、私はいつもよりも少しだけ遅く歩いてみた。


無情にも……視界に自分の家が入る。
善が先に玄関の鍵を開け、扉を押さえててくれたので、私は仕方なく家の中へと足を踏み入れた。

善は善の部屋へ、私も荷物を置きに自分の部屋へと向かう。
私は制服のままベッドに腰かけ、冷静になるために深呼吸をした。

特に楽しいわけじゃない学校からの帰り道。
1人で帰っているときは少しでも早く家に帰って勉強をしたいと思っていた。

そんな帰り道をただ好きな人と歩いているというだけで……まったく違う道を歩いてるかのようだった。


幸せな気持ちのまま、私は夜ご飯を作るためにキッチンへと向かった。
冷蔵庫にあるものでオムライスを作り、まだ部屋にいる善を呼びに行った。



「……さらに好きにさせようとしてる?」

「え? どういうこと?」

「俺、オムライスが1番好きなんだ」