私が見てるときはたまたま女の子と話してないだけで、もしかしたらいつもは楽しそうに話してるのかもしれない。
……なんて、被害妄想までしてしまう始末。
勝手に想像して落ち込むなんて私らしくない。
どんなときも冷静でいられるところが私のいいところなのにーー。
「ごめん! 刀夜とこれから出かけるから一緒に帰れなくなっちゃった」
「そうなのね、わかった。あんまり遅くならないようにね」
「はーい」
今日は夕方からお母さんが友達と映画を観に出かけるので夜ご飯は自分たちで用意しなければいけない。
そこで、駅の近くに新しくできたお弁当屋さんでお弁当を買って帰ろうかと、今朝瑠月と話していた。
瑠月を迎えに瑠月の教室まで来たけど、結果こうして断られてしまったというわけだ。
1人で瑠月と善の分のお弁当まで買って電車で帰るのはめんどくさいので、夜ご飯は冷蔵庫の中にあるもので作ることにした。
駅に着くと電車が到着した音が聞こえ、自然と進む足が速くなる。
ホームには帰る方へ向かう電車が。
なぜかわからないけど、このときの私はこの電車に乗らなくちゃ……という思いが頭を支配していた。



