無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


「……凛李? なんかさっきよりも顔赤くない? 大丈夫?」



心配して私の顔を覗き込んでくる善。

いやいや、今顔が赤いのは100%あなたのせいですから。
予告もなしに麦茶を口移ししてくるからでしょー……っ。


なんて、この近さの本人に言えるはずもないので、私は善に顔を見られないように反対を向いた。



「あれ、もしかして恥ずかしかった?」

「……」

「それで顔赤くなったのか、なるほど」



しかし、いとも簡単に私の気持ちを読んでしまう善は、おもしろがるように無理やり私の顔を見ようとしてくる。



「……見ないでっ」

「やだ」

「や、やだっ⁉︎」

「どう考えたって、今の凛李めちゃくちゃかわいいじゃん」

「……っ」

「見なくてもわかるよ」



この男は本当に一瞬で私の心を乱してくるなぁ……っ。
そんなこと言われて、キュンとしないわけないじゃない……。