そんなときーー誰もいない教室に響く低い声。
「え……?」
ゆっくりと顔を上げると、教室の入り口には善が立っていた。
……どうして?
みんなとカラオケに行ったんじゃなかったの?
「なんでここに……」
「忘れ物、あった?」
「え、あ……」
私に近づいてくる善のその言葉にハッとする。
そうだ、忘れ物して戻ってきた程だった。
「うん、あったよ。スマホを机の中に忘れてた」
とっさにそうウソをつき、私は立ち上がろうとした。
しかし、善が私の前の席に横向きで座ったため、結局その場から動けなくなってしまった。
「打ち上げ行かないの……?」
「凛李こそ」



