「先の生徒会総会での話し合いで、とっくに決まってるんだ、諦めろ」

冷めた目線で紡がれる遠慮のない物言いに、つい頭に血が上ってしまう。
もしかしてこの人、性格悪い⁉︎

「活動は、これからするところです! せっかく入ったのに、廃部になんて……」

「……これからどう活動しようとも、廃部はもう決定してる」

「だからそれはまだ……。あ、あの、生徒会でもう一度、どうにかなりませんか⁉︎」

もともと頼もうと思っていたんだもん、この際だ。
半ば勢いで発した言葉に、会長は呆れたような顔をした。


「無理だろ。少なくとも、あんた一人の申し出なんてどうにもできない」
「そんな、もう少し考えてくれても……!」

「あの……、一応ここ、図書室なんで……お静かに、願えますか」

 つい大声になってしまった私たちのやりとりを見かねて、少し離れたカウンターにいた図書委員の女子生徒が恐る恐る声をかけてきた。
クラス章から二年生だということがわかる。
すると、会長は私に向けていた敵意ある声色とは打って変わった爽やかな声で、

「ああ、すまなかった。気を付けます」

と言って、申し訳なさそうに少しだけ微笑んだ。
それを見た彼女は頬を染めて、頭を下げてカウンターへと帰っていく。

会長が再び私の方を見たときは、面倒なものを見るような表情に戻っていた。

……へえ、普段は「生徒会長」として、そういう爽やかなキャラなんだ。
 私の前では思わず、本性が出ちゃったということか。