「ご、ごめんなさい! え、えっと、生徒会長さんだな、って思って、つい‼」

 とっさに苦しい言いわけをしたわたしに、会長はため息をついて、そして。

「⁉ かっ、会長⁉」

ずい、っとこちらに身を乗り出して。私に顔を近付けてきた。
え、なに? 近いっ……!

「……一年か」
そうつぶやくと、体勢を元に戻したけれど、ドキドキは止まらない。
わたしの胸ポケットのクラス章を確認したんだ。わかっていても、心臓に悪い。


「部活は」
「へっ?」
「部活。何部にせよ、そろそろ始まる時間じゃないの?」

そう言って会長は僅かに眉をひそめる。
前にも言った通り、この学校は部活動がさかんだ。
生徒会などの他の仕事に就いているとか、家庭の事情などの理由がない限りは……帰宅部は認められていない。

「あっ、部活……マンガアニメ同好会で」

とっさにそう言った瞬間、会長の表情がより険しいものになったのがわかった。
何かマズいことを言ってしまったのか……質問するよりも早く、会長が口を開く。

「マンガアニメ……。ああ、もうすぐ廃部になるアレか」
……え?

 わたしが驚いていると、会長は一瞬だけハッとした表情になる。
良くない発言をした、と自覚したみたいだけど、すぐに開き直ったようにため息をついた。

「確か、部員減少で来年度には廃部だったよな。次に入る部活、考えておいたほうがいいよ」

自分は何も間違っていない、というような様子で机の上のペンケースを片づけ始めた会長に、呆然とする。

……な、なにこの人……!
優しい言い方だけど、感じ悪くない⁉

「ま、まだ決定したわけじゃっ……!」
 とっさにそう言ってしまって、慌てて口を押さえる。会長は、目線だけをこちらに寄越した。