……今まで、二次元の中でしか知らなかった。
かっこいいキャラクターにドキドキする気持ちとは、違う。

会長にとって、わたしは「雑用係の犬」で、いいとこ「教え子」。

それに、彼は生徒会長で、学年トップの成績で、有名な大学に進学しようとしていて。
あと、密かにモテる。

わたしみたいな平凡女子が好きになっても、絶対に叶うはずないってわかるのに。

「たとえ付き合えなくても、好き」って、思うぐらいには。
本気で会長に、恋をしてしまったんだー……。





恋の力が偉大なのか、もしくはわたしが凄く単純なのか。

会長への気持ちを自覚してから、わたしはよりいっそう勉強を頑張った。

そして始まった期末テスト。

(すごい、できてる気がする……!)

苦手だった数学も化学も、とりあえず会長の教え通りに詰め込んだ暗記科目も。
手ごたえを感じて、これなら50位以内も夢じゃないんじゃないか、なんて思ってしまう。

ちなみにテスト期間中は会長にも自分の勉強に集中してもらうために、放課後の勉強会はやらずに一人で頑張ることにした。
生徒会活動もないから少しさみしいけど、会長が作ってくれたノートがあるから頑張れる。

(……って、すっかり恋するオトメ、みたいじゃん)

四日間に渡って行われるテスト、明日がいよいよ最終日。
明日は対策バッチリに暗記した家庭科の筆記と、わりと得意な国語の二教科のみ。

昼前に学校を出ようとすると、昇降口で丁度、岸会長と顔を合わせた。