その日は、夢をみた。

私の好きな二次元のキャラ、「怪盗キング」がいきなり私の部屋にあらわれて。
でも、何を盗むわけでもなく、目の前でシュークリームを食べている。

(あれ?)

「キング様、なんでわたしのところへ?」

「それは、……あ、クリーム、ついてるよ」

 キング様は、いつものさわやかな笑みを浮かべると、紳士的なふるまいで私にそっと近づいて、……その手を、私の頬へ。
そっと近づく、マスク越しの瞳。

 キス、される!
 そう思って目を閉じた瞬間。

「なんでここに来たかって? お前が、俺の犬だから」

「えっ」

 あわてて目を開けると、そこにいたのは……怪盗マスクもなにもつけていない、普段の制服姿の岸会長。

「‼︎」

飛び起きて、夢だってわかって、でも、心臓はまだバクバクいっていて。

 その夢の話をアキとミナミにしたら、相当驚いた後に、

「でも、現実にそういうことが起こってもおかしくない状況だったってことじゃん」
 
って言われた。