興味があったというか、ファンだった。今はもう、過去形だけど。

「……会長の、声が好きで。こ、声だけですけどね!」

「あはは、そっか、声か」

川西先輩は、岸会長とは対照的でよく笑う人だ。
朗らかな性格、人気があるのも頷ける。

だけど彼らの力では、同好会は存続させられないという現実を知った。
じゃあわたしたちは、どうすればいいんだろう。

考えていると、チャイムが鳴った。


「もうこんな時間か、行かなきゃ」
立ちすくむ私に、川西先輩は振り返って。

「またね、陽菜子ちゃん」

ひらりと手を振って、図書室を出て行った。

(またね……?)

静かになった図書室。
図書委員の人が、カウンターからこちらを覗いていたけど、目が合ったら慌てて逸らしたのがわかった。

……生徒会長と副会長の三年生なんて、普通に学校生活を送っていたらもう二度と関わることはない。

そう思うのに、なぜかわたしの頭の中には、イヤな予感がうずまいていた。