「……岸会長、意外と片付け苦手なんですか?」

川西先輩や、他の役員の方は自分の私物を運び終えて整理整頓まで済んでいるのに、岸会長の机の中だけとんでもないことになっていて。

私物は少ないけれど、元々あったであろう生徒会の資料が、ごちゃごちゃの順番に入っている。

「うるせぇ。そんだけ業務が忙しかったんだよ」

自分のロッカーを片付けていた会長が、耳を赤くして言った。

……特にこの一ヶ月、会長とはいろいろあったけれど、またこうやって話せるようになってよかったと心から思う。

一度全部机から出した報告書や予算案の資料を、決められたファイルに綴じて行く。
すると、中から一枚の紙が出てきた。

(……あ、)

「会長、見てください! これ」

「ん? なんだよ」

わたしが見つけたのは、……一番最初に「雑用」をさせられたとき、会長の字の真似をして名前を書いたプリント。

「これ全部、『俺っぽく』署名しといて」
と言った会長を思い出した。