「今の生徒会に可愛がられて、調子乗っちゃった?」

「岸くんに見放されたんじゃないー?」

聞こえる声は、ほぼ女性のもので。
最近の岸会長ブームで増えた、会長ファンの人たちだってわかった。

「静かにしてください」という司会の声も届かず、うるさいままの館内。

相手が一人二人なら気にならないけれど、今回は数も場所も違う。
まるで生徒全員から責められているような感覚になって、足がすくんでその場から動けなくなった。

(どうしよう、バカなことをしたのかな……)

って後悔し始めて、涙があふれる直前。


「壇上で泣いたら、せっかくの演説が台無しだ。こらえろ」


……今一番、聞きたかった声が、聞こえた。
一瞬だけわたしの肩に置かれた手は、マイクを握って。

「遅れました。橋本陽菜子の推薦人、三年五組、岸遥真です」

わたしのとなりに現れたのは、……岸会長……!