意を決して放った言葉に、その場が一瞬で静まり返った。でももう、戻ることはできない。

「……その同好会は、部員減少で廃部が決定しています。で、でも、わたしは不思議に思うんです。……全校でこれだけ人がいて、マンガやアニメに興味がある人がほんとうにいないのか、って」

完全に、他の候補者とは違った内容を話すわたしを、多くの人が頭に「?」を浮かべて見ている。

「……それは、この学校の「部活動をやらなくちゃいけない」という固定観念からきていると思います。……普通科と、情報科、英文科との間の隔たりもそうです。「必要以上に棟を行き来しない」という固定観念」

この学校に入って、感じたことを正直に口にする。

でもきっと、こう思っているのはわたしだけではないはず。
だけど、それを伝える機会がない。だから今日、この場で言葉にする。

「マンガアニメ同好会は、他の部活動との掛け持ちが可能です。もちろん、情報科や英文科のみなさんも歓迎します。……そして、わたしが生徒会役員になったあかつきには、そんな部を当たり前にし、みなさんのリアルな声に耳を傾け、楽しく通える学校づくりを目指します。……い、以上です」

……そこまで一気に言い切ると、急に頭が冷える。
もう、なんて話したのか覚えていないぐらいの感覚。


すると、ワンテンポ遅れて、パラパラとした拍手が聞こえてきた。
全校生徒の、社交辞令的な拍手ではないそれはきっと……わたしの意見に賛同してくれた人の声だ。

頭を下げて、ステージから去ろうとしたけれど、……そこで思わぬヤジが届く。

「会長に推薦人やってもらえなかったのー?」
女の人の声で、そんな言葉が聞こえて。それをきっかけに、少しずつうるさくなる体育館内。