「……だからどうしろっていうんだよ」
引きとめたものの、呆れと怒りの混じった会長の声に、自分でもどうしたらいいかわからなくなってしまって、情けない声がもれる。
「そ……そもそも、おかしいですよ……。強い部活は後押しするのに、同好会で自分のやりたいことをやる人たちのことはないがしろにするなんて……」
負け惜しみみたいにそう呟くと、会長は一瞬だけハッとしたような表情を見せた後、
「今までずっとそうなんだから仕方ないだろ」と言ってわたしから目をそらした。
話は進まず、図書室に沈黙が訪れた、そのとき。
「岸くんが勉強教えてあげればいいじゃん」
とても明るくそう言った川西先輩に、わたしと会長は目を見開いた。
「えっ?」
「川西お前、何言って……」
「だって、岸くんは生徒会長としてずっと隠してきたそのひねくれた性格を知られちゃったわけでしょ。これって、もし言いふらされたら大問題じゃん」
手で口元を隠しながら、至極真面目な顔で話をし始めた川西先輩の言葉を、わたしと岸会長は黙って聞く。
「でも同好会の件は俺たちの意見でどうにかできる話じゃないから、陽菜子ちゃん自身が生徒会に入るしかない。だからそのために、岸くんが一肌脱いで陽菜子ちゃんを生徒会に入るのに相応しい人物に育てる。それしかないと思うけどなぁ」
そう一気に言い終えた川西先輩は、ヘラリと笑った。
わたしが、この腹黒会長に、勉強を教わる……⁉︎
「えっ、遠慮します」
「……まぁ、考えておく」
わたしと岸会長の声が、見事に重なった。
ほら、意見も一致してる! ……って、え?
