次の日、目を腫らしたまま学校に行ったら、アキとミナミにものすごく心配されて。

ことの経緯を話したら「選挙、出るのやめよう」と強く言われた。

同好会がなくなっても、三人で漫画を描くことは変わらないし、最初の目標だった新人賞にも予定通り応募しよう、と決まって。
いまはアキとミナミが描いてくれている原稿に、ベタやトーンを貼っていく作業をしている。

……でも、漫画の登場人物の「岸会長に似ている男子」でさえ、見るたびに心が痛んで集中できない。

自分で作った話なのに、漫画の中の順調な二人が羨ましい、なんてバカなことを考えてしまう自分がいた。

(自業自得なのにね、)
わかってはいても、一日二日で切り替えられるようなものではない、よね。


そんな中、昼休みに教室でお弁当を食べていると、廊下からわたしの名前を呼ぶ声。

「陽菜子ちゃーん!」

「……ひ、ひかりちゃん⁉︎」

わたしを呼んでいたのは、ひかりちゃんで。

駆け寄ると、「来ちゃった」と、いつもの人懐っこい笑み。

……だけど、どこか周りの目線を気にしている様子で。

実際、情報科の人がこっちの校舎に来るのはめずらしい。
職員室や保健室に用があっても、教室があるフロアまで足を運ぶ人は少なくて、……なんとなく、好奇の目みたいなものにさらされている。
ひかりちゃんが可愛いから、ってのも原因かもしれないけど。