「……とにかく、その意見を生徒会で通すわけにはいかない」
「き、岸会長は性格が最悪、って、言いふらしますよ⁉」
「別に、一年生の発言に何の影響力もないだろ。証拠があるわけでもないのに」
い、言い返せない……。
しかも、憧れの生徒会長が、こんな人だったなんて!
ショックと、同好会を守れない悔しさで泣きそうになる。
この人の前で、泣きたくない。しかもここは図書室、人の目もある。
だから、我慢しなきゃ。
そう思えば思うほど、鼻の奥がツンと痛くなる。
わたしはそれを隠すようにうつむいた。
「……泣くのか」
「……」
「はぁ、」
ため息をついた会長。
次は、どんなひどいことを言われるんだろう。
そう身構えていると、会長はさらに声のトーンを落として言った。
「……一度承認印を押した手前、俺の一存で簡単に撤回することはできないんだよ」
……え。
顔を上げると、バツの悪そうな顔をした会長と目が合った。
「少なくとも、半年間は同じ議題を持ち出すことができない決まりだ。だから、俺の任期内にはどうにもできない。期待に添えなくて、悪いけど」
「会長……」
それって、本当は会長も「どうにかしてあげたい」って、思ってるってこと?
もしかしたら、本当はそこまで悪い人じゃないの……?
「はい、そこまで。二人とも、ここは図書室だよ?」
「‼︎」
後ろからそんな声がして、……私の肩に誰かの手が触れる。
