Young days

『…伊織。』


『……1人にして。』


雨に濡れていても、伊織の目が涙を流した事は明らかだった。



『…悪かった。ごめん。謝るから。』



『…何を謝るの?何に"ごめん"て言ってるの?』


『……だから…お前の事傷付けたから。』


『……違うよ…違う…。』


『……何が?』


『流唯は、傷付けたから謝ってるんじゃ無い…。』


『…え?』


『…私を兄弟としか思えないから、謝ってんでしょ?』


『…いや、そうじゃなくて……そうなんだけど……』


『ごめん!』


『…え?』


『謝るのはこっちの方…。』


『なんで?』


『勝手に好きになって…"好き"とか思っちゃって…好きんなっちゃったから…ごめん。』


伊織の作り笑いが流唯の胸を締め付けた。


『笑うなよ。好きんなって謝るとか…おかしいだろ…。』


『…え?』


『ビビったよ。マジか?って…そりゃ思うよ。思うでしょ?少6からバレンタインのチョコだってくんなかったし…中2の時クラスのヤツに告られた時だって"付き合えば?"って言うし、莉乃さんの写メだって送ってくれたじゃん。もうこっちは意味わかんねぇ〜って、パニックだわ。』



『だから謝ってんじゃん…。』



『俺とっくにフラれてんだと思ってた。』



『…え?』



『お前がチョコくれなくなったバレンタインで、もう伊織、俺の事…。』



『………流唯?』



『あぁ、俺ら友達なんだ…って。だから好きとか思っちゃいけねんだって。だからユヅにも言ったんだ。果奈と付き合ったって言われた時…"ルール違反だろ"って。でも"誰が決めたルールなの?"って笑われて…。"確かに"って思ったよ。俺馬鹿だから、勝手にお前の事諦めたけど、誰を好きになったとしても、謝んな。気持ち伝えといて謝るとか…んな事すんなッ。』


伊織は初めて自分に向けられた流唯の力強い眼差しに驚いていた。