Young days

『……ナルさぁ。』


『待って…今、歌詞見てるから。』


『あっ、そ…。』



秀晴は、伊織との事を聞こうとしたが今はそれを一旦待った。



全ての歌詞に目を通した七琉美はスマホから視線を逸らし窓の外を眺めた。



『…わかるよ…今まで何度も聴いてた曲なのに…今は違って聞こえる…不思議…。』


秀晴は優しい眼差しで七琉美の横顔を見つめた。


『お前も大人になってくか…。』


『…え?』


『誰のせいなんだよ?お前を大人にしてくのは…because of …誰?』


秀晴は七琉美の鼻を摘んで笑った。


『……分かってるくせに。』


『お前の口から聞きたいんだよ。ハッキリ聞きたいのッ!アイツが好きだ〜ッて。』


『伊織だよ。伊織が好きだ。昨日告った。これでいぃ?』



秀晴は一瞬真顔を見せて微笑んだ。



『……アイツの答えは?』


『……まだ…。』


『フラれに行ったんだろ?』


『……でも、まだ…。』


『…覚悟決めて伝えたって事か…。』


『うん。だから…フラれるを…待ってる。』


『………んなもん待つなよ…。』


秀晴は七琉美の頭をクシャクシャに撫でるとギアをバックに入れた。


『一旦受け入れたなら、待つ必要なんてねぇ〜よ。あとはただ、相手の言葉をちゃんと聞いてやるだけ。それで、笑い掛けてやりゃいぃんだ。そうすれば元に戻れるから。衣千華もそうしてくれたんだろ?お前に。』


『………………。』


何故秀晴がそれを知っているのかは分からなかったが、七琉美は黙って頷いた。


駐車場を出てBerry Berryへ向かう秀晴の車は同じく駐車場を出ようとする車の渋滞にハマった。


『……どんな人?』


『…ん?』


『ヒデオジがこの歌詞に自分を重ねた相手って…どんな人?今もそうなの?』


ずっと同じ曲を聴いている秀晴の中には、今もずっと同じ人がいるのだろうと七琉美は感じていた。


『ん〜。どうだろうなぁ…。まぁ、淡い初恋ってか?キャラじゃねぇ〜コト聞くなよ。』


『告白した?』


『してねぇ〜よッ。出来なかったの俺はッ!てか、やけに食いつきいぃなぁ。男同士で恋バナって何か笑える〜。』


『…その人を、今でも想ってる?』


それまで笑ってた秀晴が一瞬、ドキッとした顔をした。


『別に興味ねぇ〜だろ?俺の恋バナなんて。俺はね、恋多き男だから。多過ぎて、多くは語れねぇ〜のッ。』


『全然意味が分からない…。』


そう言って笑い合った。