Young days

伊織は何も答えなかった。



それでも帰る事なく黙って洗い物を始めた伊織に秀晴は自分のサングラスを渡した。



『貸してやるよ。今日だけだかんな!その代わり今日1日レンタル持ち場だから。』


『…え?』


『サングラスで接客は出来ねぇ〜だろ。ナルと代われッ。あこなら1人でボサッと出来んだろ…。』


秀晴なりの優しさだ。


『……ありがと。』


『…まだ言って無かったな伊織。』


『えっ?』


『誕生日、おめでとう。』


伊織はサングラス越しに笑った。



七琉美が戻ると、秀晴は今日1日かき氷担当だと伝えた。間もなくして、珍しく流唯が到着し、衣千華、優月と果奈も集まった。


『あれぇ?今日ナルがかき氷?』


『…あ、うん。』


果奈は伊織を見つけて手を振った。


『伊織〜ッ!おめでとう!』


『ありがとう!』


『でも、何で?レンタルはナルの持ち場って決まってんのに…。』


優月が七琉美に聞くと秀晴が割って入った。


『あぁ〜アイツ、前からやってみたかったらしくて。今日誕生日だし。なっ?代わってやったんだよなナル。』


『…あぁ…まぁ…。』


『へぇ〜。日焼け気にしてた割にあこ狙ってたんだ〜。』


優月が不思議そうに伊織を見ていた。


『えっ!?てかズルくなぁい!?俺ずっと代わってって言ってたよね?ヒデさんッ!』


流唯が大声でヒデに駆け寄った。


『馬鹿ッ。声でけぇ〜んだよお前は〜。』


『だって、アイツ、サングラスなんかして…てか、アレッ!ヒデさんのサングラスじゃ〜ん!マジ羨まし過ぎるッ!何で俺誕生日夏じゃないのぉ〜ッ!?』


『…それは俺に言われてもな。俺はね、流唯。お前のその元気な声を側で聞いてたいのよ。だから、ここで洗い物しててくんないかなぁ〜。』


秀晴の悪魔の微笑みにコロッと気を良くする流唯。


『え…マジっすか?洗いますッ。俺、じゃんじゃん洗います!』


『いぃねぇ〜お前は悩みの1つも無さそうで。』


『えっ!?何すか?また俺の事褒めました?』


全員呆れて持ち場についた。