Young days

まだ早朝…2〜3時間寝たのだろうか…。
泣き過ぎたせいか目覚めた伊織は頭痛を感じた。水を取りにキッチンへと向かうと母が笑った。


『おはよう!誕生日おめでとう伊織。』


『…あっ、ありがと…。』


冷蔵庫から水を取り出す伊織を見て母は表情を変えた。


『どうしたの?目…。』


『……何?』


『腫れてなぁい?』


『……そう?あぁ〜きっと、うつ伏せで寝たから〜浮腫んだのかも。』


『…そっ。ならいぃんだけど…。にしても酷い顔ッ。冷凍にアイスノンあるから、少し冷やしたら?』


『うん。そうする。』


伊織は冷蔵庫から小さ目のアイスノンを取り出し部屋へと戻った。


ボーッとする頭と、まだダルい身体…で階段を上がり部屋で鏡を覗いた伊織。


『…どんな顔して…って思ってたけど、こんな顔して……会いたくない…。』


"どんな顔して…"は、七琉美に対して思っていた事なのに、"こんな顔して…"は、流唯に対して発した言葉…。

思わず口にした自分の独り言ですら、誰を想っているかは明確だった。


"わかってるよ…わかってる…"


そう心で思っても、あのキスが頭から離れない。ずっと初恋の相手を想い続けてきた中で、流唯以外を男として意識してしまっている自分に伊織は戸惑っている。それが、大好きな親友達の1人だから尚更だ。


"なんでナルなの…?なんで私なの…?"


そんな事を思いながらアイスノンを瞼に当てた。

【7:00】

衣千華からのお祝いメッセージが届く。

【8:07】

果奈からのお祝いメッセージ。

【8:41】

優月から。




部屋の時計が9時を回った頃、伊織はシャワーを浴びた。


『ママ、伊織シャワー?』


『どしたの?』


父は、誕生日プレゼントに用意したサーフボードを見せたくてソワソワしていた。


『いつもだったら、とっくに出てく時間なのに…今日まだだから…。』


『今日は11時に行けばいぃみたいよ?昨日疲れただろうからってヒデ君が…。』


『えぇ〜そうなの?待ちきれないよ〜。』


『ねぇ、パパ。もし伊織の反応が薄くても凹まないでよ?』


『えっ?なんで?薄い訳ないよ〜。欲しいって言ってたもんボード。新しいやつ…。』


『ん〜そうじゃなくて。タイミングの問題よ。』


『…え、なんの?夜の方がイィって事?』


明らかに娘の泣いたであろう目の腫らし方を見た母と、それに全く気付いてない父との間で噛みわあない会話が続いた。