Young days

『………ナルごめん…ごめん…。』


『……だから泣かないで…。俺、今ちゃんとフラれたから。伊織に気持ち伝えられて良かった…って思いたいんだよ。』


『…………ぅん。』


『………ほら…もう家戻んないと…。』


伊織は七琉美が見せたスマホの時刻が目に入った。


【23:54】


『このまま此処に居たら、俺が1番になっちゃうよ?』


『…え?』


『今年は流唯に言ってもらうんでしょ?1番先に…。』


七琉美も去年の会話を覚えていた。


『………でも…このまま置いて行けないよ…。』


『なんで?』


『…だって、泣くでしょ?ナル1人になったら…ここでナル…泣くんでしょ?』


『………泣くって言ったら一緒に居てくれるの?』


七琉美は真顔で伊織を見つめた。


『ほら…目、逸らした…。ごめん!今のはチョット意地悪だったね。』


七琉美は笑って立ち上がった。


『行こう。俺も帰るから。』


優しい七琉美の表情に伊織はゆっくり立ち上がった。


伊織の先を歩く七琉美。家の前の通りに出ると、七琉美は後ろを振り返った。

3メートル程後ろで足を止めた伊織。


『……どした?』


『……ちゃんと考えたい。』


『……えっ?』


『ナルが、これまで大事にしくれたその気持ち…。"好き"って言ってくれた事…嬉しかったから。…私ちゃんと、ちゃんと考えてから答え出したい。』


七琉美のスマホにセットしてあったアラームが12:00を知らせた。


それを止めた七琉美は伊織の元へ歩み寄った。




『そんな事言われたら…1番を譲れなくなる。』




七琉美は伊織にキスをした。




『…ごめん伊織…誕生日おめでとう。』




一瞬の出来事だった。
伊織が驚いて動けずにいる中、七琉美はその場を去って行った。


伊織の心臓がドクンッ!ドクンッ!と、音を立てていた。