Young days

伊織はそっと家を抜け出すと、真っ直ぐ浜辺の方へ走って行った。七琉美は伊織に向かってスマホの光を目印に手を振った。


『どしたの〜?ナル。』


『…ごめんな。こんな時間に…。』


『うぅん。朝早いのは全然いぃんだけど…夜中に家抜け出すとかちょっとドキドキしちゃった。』


そう言って伊織は七琉美の隣に腰を下ろした。


『……そんな時間かかんないから。』


『あっ…うん。どしたの?』



『…伊織。俺…伊織が好き…。』



『…えっ?』


伊織は思いもしない七琉美の言葉に頭が真っ白になった。



『突然何言ってんだ?って思うでしょ?』


『……………………。』


『でもホントなんだ。あぁ…俺、今伊織の事困らせてんなぁ〜って…急に"好き"とか言われて戸惑って言葉も出ないんだろうなぁ…って、ちゃんと分かってるから。』


『………え………ごめん。ビックリし過ぎて…なんて言っていぃか………。』



『伊織は何も言わなくていぃよ。』



『…え?』



『だって俺、お前にフラれに来ただけだから。』



『…ナル…?』



『いつからかは分かんないけど、いつの間にか好きになってて…でも、伊織には他に好きな奴が居て…。そいつ、超が付く程ド天然で、馬鹿なんだけどさ…誰よりも単純で、けどめちゃくちゃ純粋な奴で…俺そいつの事も大好きなんだよね。』



七琉美は遠くの海を見つめながら笑って話した。


『だから…このまま黙ってよう…って、ずっと思ってたんだけど…。俺に勇気をくれた大事な人も居たりして…ここに来てた。』


七琉美がふっと伊織を見つめると伊織はポロッと涙を零した。


『……伊織……俺より先に泣かないで?これでも、フラれる覚悟で人生初の告白してんだから…。』


七琉美はこれまで伊織が見たことのない程、優しくて切ない笑みを浮かべていた。