Young days

莉乃は晴翔からの着信に気付いた。


『もしも〜し。』


『動画見たよ。ありがとう。』


『うん。こっちの声聞こえてる?』


『大丈夫。忙しいのにごめんね。』


『全然。花火上がってるうちはそうでも無いから。』


『来年は一緒に見ようって、言いたくて。』


『…うん。見る。絶対見る。約束!』


『うん。約束する。…じゃあ、俺まだ少しレッスンして帰るから。終わったらまたメールする。』


『うん。頑張って。じゃ…。』



電話を切るタイミングで目の前のクーラーボックスに缶ビールが投げ込まれた。莉乃が振り向くと秀晴はニヤッと笑って焼き場へと戻った。


炭を確認し、網に焼き鳥を並べた。花火は1時間半打ち上がる。その間みんなが簡単に腹を満たせるよう秀晴にゆっくり休む間など無かった。花火が終われば一斉に片付けを済ませ、少しでも早く皆を帰してやりたいからだ。長い1日を汗だくで働いてくれた分、塩コショウの塩は多目だ。


紙コップに5〜6本ずつ差し込み次々取りに来させた。


コショウにむせた流唯に水を渡す伊織。

『去年も同じ事してなかった?』

『してたしてた!なんだっけ?』

優月が何かを思い出そうとしていた瞬間、流唯は苦しそうな声でこう言った。


『喉ちんこにコショウがくっついたッ…!』


『それだッ!』


伊織と優月がハモって流唯を指差した。


1人水をカブ飲みする流唯以外は笑っていた。自然と笑みが溢れた七琉美は衣千華と目が合ってもその表情を変える事は無かった。
花火が終わればフラれる…そんな不安で押し潰されされそうだった衣千華の目に溢れるモノがあった。

『え?待って、衣千華泣いてる?』

優月が気付いてしまった。

『ごめん、なんかツボった。可笑しくて涙出て来ちゃった。』

衣千華は必死で笑った。

『ほら〜!るーちゃん変な事ばっかだから〜!ホントしっかりして〜!』

みんなが泣き笑いだと思い笑う中で七琉美だけは衣千華を直視出来なくなった。