海開きのシーズンを迎え夏休みに入ると、6人は七琉美の叔父にあたる秀晴(ヒデハル)の海の家(浜茶屋olu'olu オルオル)の手伝いに借り出される。バイト代は出ないが、ジュース飲み放題のご飯付き。海水浴客が引く夕方からはBARになる。


高3の夏、夏休みの間だけ専門学校に通う為県外に出ている七琉美の姉、莉乃も戻って店を手伝う事になった。基本、秀晴は朝が弱い。というより、朝まで飲むと午前中は使い物にならない…。


『ヒデオジが今年もolu’olu頼むって…。』


夏休み1週間前、七琉美が呟いた。


『マジかぁ〜!』


流唯は天を仰いだ。


『いやっ、楽しかったよ?楽しかった。うん。コーラ飲み放だし、飯は旨いし、ビキニ美女わんさかでさぁ〜。』


『…じゃあ何が無理?』


笑顔で語る流唯に、優月が笑顔で問い掛けた。


『…バイト代が…ナイッ‼︎』


七琉美は流唯から目を逸らしスマホを触り出した。


『…ねぇ!ちょっとナルちゃんさ〜、何とかならんかね〜その辺。何気朝も早い訳だしさ〜汗だくでこんがり焼けちゃう訳よ〜。』


『…姉貴も手伝うって。』



『えっっっ!?』



流唯は中3のバレンタインに、たまたま莉乃がくれたチョコに感動し、それ以来莉乃に憧れている。莉乃がこの街を離れると知った時はショックのあまり1週間給食を残した。