Young days

『感謝してもし切れねぇ。一生敵わねぇ。する事なす事カッコよくてよ、そんな人…俺なんて足元にも及ばねぇ〜のに。華奈緒さんを好きになってしまったって事すら、どっかで兄貴を裏切ってるみてぇ〜に思えて罪の意識が離れなかった。けど、兄貴が俺らの為に忙しく働けば働くほど俺と華奈緒さんの時間が増えて、どんどん華奈緒さんの事知っていって…膨らんでく気持ち止らんなくて。ダメだって…でも会いたくての繰り返し。だから、この気持ちだけはバレちゃいけねぇ…。伝えるなんて以ての外で、ただあの笑顔を側で見てるだけで良かった…。子供が出来たって言われる度に心臓えぐられたけど、いざ抱かせてもらうと可愛くて…。もう感情が忙しくて自分で自分が分かんなくなんだよ。何やってんだろ…って思った10分後には、あぁ…やっぱ好きだな…って思ってたり。お前らが懐き過ぎて、兄貴が居てもヨチヨチ歩きのお前がさ…俺んとこ歩いて来んだよ。お前の事抱っこして"あぁ、今俺初めて兄貴に勝てたかも…"ってな。お前の頭めっちゃ撫でた。』



七琉美は笑った。



『……華奈緒さんが倒れた時も、病院付き添ったの俺で…駆け付けた兄貴と一緒に余命宣告受けた。』



『………えっ?』



『最後の外泊許可がおりた日、兄貴をそこに乗せて俺の車で家に連れ帰った。そしたら、1日だけ…CD貸して欲しいって…。華奈緒さん英語得意だったから、歌詞…理解出来たんだろな…。その8日後だったかなぁ。お前らと一緒に華奈緒さん見送ったの。』



『………………………。』



『俺もな、次発作起こしたら覚悟決めてくれって医者に言われてんのに、兄貴が出張行くってなった時必死で止めたんだよ。』



『……え?』



『初めて兄貴に声上げた。そしたら…華奈緒さんの頼みだから…って。俺、兄貴に何て言ったのか華奈緒さんに聞いたんだよ。

"女はね、出産の度に命懸けなのよ。私は3度命をかけて、ここまで生かされてきた。もう十分。けどあの人は毎日命懸けで働いてるの。これまで彼が、子供達との掛け替えの無い時間さえも犠牲にして必死でやって来た事を今私が無駄にする事は絶対に出来ない。"

"だからもし、私に何かあっても彼を責めないで。あの子達の為だから…。"

って、頼まれた。
あの頃…ホテルの経営が少し傾いててな。親父も、兄貴も必死だったんだよ。今でこそ風波1の人気ホテルだけどな。それも、きっと華奈緒さんのお陰なんだ。』